おこづかいのはじめかた
お金教育の生きた教材が「おこづかい」。現金を持つことによって、子供たちは大きく成長します。ここでは、いつから、いくら、どんなふうに始めるのか。そして、おこづかいを持つになって起こりうるトラブルやお年玉の管理方法までをご紹介します。
いつから、いくら、どんなふうに?
Q1 おこづかいは『いつから?いくら?どんなふうに?』渡せばよいですか?(小学1年生の親)
A1 おこづかいを始める際には何より親子一緒でのルール作り(おこづかい契約書)が大切です。
おこづかいを決めるにあたっては、親子でルールを決めましょう。下記の項目を参考にしてください。また、禁止事項なども話し合って決めておきましょう。
◇いつから?
「欲しいもの・買いたいものがある」というタイミングが一つの目安です。また“お金”という概念が解っている方が進めやすいです。具体的にはお札と硬貨の価値が理解できているか(どちらが大きいお金なのか)などです。
◇いくら?
次の点に配慮して決めましょう。
- 家計に無理のない金額にする
- おこづかいの種類によって金額は異なること
- 年齢が上がれば上がるほど金額を大きくする必要はあるが、子どもに何を買わせるかによって“ちょうど良い金額設定”にすること(多すぎても少なすぎてもダメ)
◇どんなふうに?
以下の3つのおこづかいの種類があります。お子様の性格や成長に合わせて親子で決めましょう。
【報酬制(おだちん制)】
メリットは“働くことで、お金はもらえるのだ”と言うことを子供にも感じてもらうことができます。デメリットは「おこづかいもらえないとお手伝いしない」とお金ありきのお手伝いと子供が捉えてしまうことがある点です。
金額設定は、お手伝いリストを親子で一緒に作成し、金額は10円~50円くらいの設定がおすすめです。金額を大きくしない理由は上記のメリットを伝えつつも「お手伝いは本来家族が助け合ってするもの」が大前提だからです。またおこづかいの真の目的は
→お金を上手に扱えるようになるための練習 であり
→約束した仕事をしっかりやり遂げたという「責任感や行動」に対して支払う
というものです。ですから子供が「お手伝い=お金」と勘違いしないように、おこづかいのルール決めの際にこの点をしっかり伝えておくが大切です。
お手伝いを頼んだ後に「それはいくらくれるの?」という聞かれた場合は、以下のように伝えてみましょう。親「お母さんはお父さんにお手伝いをお願いすることもあるけど、お父さんはそんな風には言わないなぁ。どうしてだと思う?」
子「…」
親「それはきっと、お手伝いは家族で助け合ってするものだってお父さんは思ってるじゃないかな。でもお父さんお母さんは働いてお金を得てるでしょ。そのことを○○ちゃん(君)にも体験してほしいしお手伝いしてくれてありがとうの気持ちでおこづかいを渡してるんだよ。そしてそれで○○ちゃん(君)が欲しいものを買うことができたら、嬉しいんじゃないかな」
【定額制(お給料制)】
一週間や一か月など一定の期間に一定の金額を渡すものです。メリットは管理能力が身につく点です。デメリットは高学年になり塾など習い事で忙しくなるとお手伝いとの結びつきが希薄になりがちな点です。
管理能力を身につける点において
→ニーズ(必要なもの)とウォンツ(欲しいもの)を考えて使う訓練
→入ってきたお金を最初に仕訳すること
をお子様にさせてみましょう。
金額をどのように設定するかというと、例えば1000円のうち100円は「人のために使うお金」へ。もう100円は「貯めるお金」(いざというときのお金)」へ。残り800円が自由に使えるお金になりますがその中で400円を必要なもの(文房具など)、400円を欲しいもの(お菓子など)を買うと言った感じです。慣れてきたら徐々におこづかいの金額をアップさせると同時に子供自身が買うものも増やしていきます。
【ミックス制(報酬制と定額制を合わせた方法)】
また今なら、おこづかいアプリなども出ていますので、親子でコミュニケーションを取りながらおこづかい制を長く続けられるとよいでしょう。
祖父母からもらったお金はどうする?
Q2 親子のルールでおこづかいを渡してますが、祖父母からの目的の明確でないおこづかいに困っています。どう対処すればよいでしょうか?(小学4年生の親)
A2 祖父母とともにルールづくりをしましょう。
まずは我が家のお金の教育方針を話し、祖父母にも理解してもらうことが大切です。自分の親ならともかく、旦那様の両親に理解を求めるとなるとそれなりに勇気がいり一苦労するかもしれませんが、かわいい孫の将来のためだと分かればきっと協力してくれるはずです。それでも祖父母がおこづかいを渡したいという場合は…
- 祖父母からもらったおこづかい専用のルールを決めておく。例えば、1000円もらったら半分は使う分、残りは貯金するなど。
- お誕生日やクリスマス、進級や入学、子供が習い事の発表会などでよく頑張った時などに限定した形で渡すようにしてもらう。これだと毎月のおこづかい教育が比較的スムーズにでき、子供も混乱しませんよね。それでも行事以外に祖父母が万単位のおこづかいを渡す場合は、親が預かり教育費や子どもの衣服費に回すなどの上記でも述べた専用ルールを決めておくと良いでしょう。
- お金そのものをもらうのではなく、「物より思い出主義」として、旅行やみんなで食事をするときのお金などを、祖父母に支払ってもらうようにお願いする。
上記の3つの例を参考に、祖父母とともに、「金銭感覚」を身に着けられる方法を考えましょう。また、祖父母への感謝の気持ちも伝えられるようにしましょう。
お年玉はどんなふうに管理する?
Q3 お年玉はどのように管理するのが良いでしょうか?(小学2年生の親)
A3 成長にあわせて、3つに分ける管理方法をやってみましょう。
小学生になると子供同士でお年玉事情を話す機会が出てきます。またお金への興味が強いお子様は小学生になり立てでも、「お年玉は自分のお金」という認識をしっかりもっているので、もし親の懐に入る…なんてなると「ママがお金を取った!」と言われかねないケースもあるようです。そこで、お年玉は自己管理を任せる良い機会だと捉えて以下の様に3つに分けて管理する方法をおすすめします。
- 子どもが使うお金…数千円を配分。子どもの好きなものを買ってOK
- 子ども名義の銀行口座に預けるお金…数千円~一万円程度を入れる。高額な買い物の際や友達の物を壊したなどのアクシデントに備えるお金として口座を作り、通帳も印鑑も子どもに管理を任せる。
- 親が管理するお金…1と2を差し引いた残りは将来の教育資金として親が預かっておく。
1 については、限られた額の中で何を買おうか楽しみながら考える訓練ができます。
2 は子供自身の口座を作り、管理させることで「自分のお金でいつかこれを買いたい!そのためにこつこつ貯金しよう!」という目的を持って貯金することやポジティブな気持ちが育めること、またもしもの時に備えておくことの大切さを学ぶことにもなります。通帳や印鑑を子ども自身に管理させて大丈夫なのか…と不安になる親御様もいるかもしれませんが、仮に紛失してしまったとしても自己責任を学ぶチャンスだと考えましょう。口座開設はぜひお子様と一緒に行くことをおすすめします。銀行の仕組みを教える良い機会にもなりますよ。
3 はしっかりお子様に説明をして信頼関係を築いておくことが大切です。自分の将来のために貯金をしてくれていることを知れば、子供は嬉しく思うものですし、教育にはお金がかかり時間をかけてコツコツと貯めていくものだということも伝わるはずです。高学年になったらこれらの配分を子ども自身に決めさせるのもありです。1を多くするのでは…と思いきや普段からお金に対して親子でのコミュニケーションが上手くできていると意外に3を多めにするケースもあります。
子供がお金を盗んだ!親はどう対応!?
Q4 娘が親の財布からお金を盗んでお菓子を買っていることが分かりました。どう対応すれば良いのでしょうか? (小学3年生の親)
A4 まずは、なぜ盗んだのかを理由を知ることが大切です。
「自分の子どもがお金を盗んだ」という事実は、親としてはショックで受け入れがたいことではありますが、まずは感情的に怒ったりせずその理由を聞いてあげましょう。
「興味本位で…」「出来心で…。」など単純にお金が欲しかったからという理由がほとんどです。ですが、“盗む”ということで親は悲しい気持ちになったこと、他人の物やお金を盗むことは犯罪になり警察に行かないといけなくなることはしっかり伝えましょう。子供はその重みを受け止め、やってはいけないことなのだときちんと認識してくれます。
また、親の財布に手を付けやすい状況(見えるところに放置されているなど)になっていないか親自身も振り返ってみましょう。お金をしっかり管理し、大切に扱うことを意識づけるには親がそのお手本になるよう気を付けておく必要があります。
「みんな持っているから欲しい」はあり?
Q5 息子に「みんな持ってるから買ってほしい」とよく言われます。どのように伝えれば良いでしょうか?(小学1年生の親)
A5 「欲しいもの」について、親子で話し合う過程が重要です。
「みんな持っている」この言葉に弱い親は多いのではないでしょうか。「うちはうち!よそはよそ!」と一括されて終わりのご家庭もあったとは思いますが、それではあまりにも直球過ぎますのでお金の勉強という視点で以下のように話してみることをおすすめします。
「その気持ちはお母さんもよく解るよ。でもみんなが持ってるからと言ってその都度買っていたらお金はいくらあっても足りなくなっちゃうんじゃないかな?」
「お母さんも昔、“みんなが持ってるから欲しい!”と思って買ったけど、後になってお母さんには必要のないものだった、買わなきゃ良かった…。」という経験が親自身にあればそれを直に話すのも効果的です。親の失敗談が良いコミュニケーションに繋がることもあります。
「将来○○ちゃん(くん)には、人と違うことをする人間になってほしいの。そだからいつもみんなと同じでなくても、そのことに自信をもって頑張ってほしいな。」と励ますのも良いでしょう。
みんなが持っているものであっても、まず冷静に「自分にとって本当に必要なものなのか?」と考える癖をつけておくと良いですね。それでも「やっぱり欲しい!」と判断すれば子ども自身のおこづかいで買わせてあげましょう。仮にそれが失敗だったとしても自分のおこづかいで失敗したからこそ次はもっと考えて使う事を意識し、だんだん上手に使えるようになるものです。